初心者でも簡単に作れるシンプル宝石ジュエリーの作り方をご紹介します。
今回は、珍しい半月形のストーンをリングに仕立ててみました。
この形の石、どういう風に石座を作るのか?どこにも載ってなかったので、私なりに考えて作ってみました。
初心者の方でもできる、この記事でご紹介した作り方なら、どんな形のストーンでも慣れれば石留できるはず。
初心者だからこそ、私にしか書けない失敗談もご参考になれば幸いです。
石留めリングを作るのに欠かせない材料と、最低限の道具は下の通り。
- 真鍮線 約3mm(指輪の部分/ネットショップ)
- 真鍮線 約2mm(石を乗せる石座の部分)
- 真鍮線 約1mm(石を留める爪の部分)
- 銀ロウ 2分・早分(ネットショップ)
- 半月形ストーン (メルカリ)
- リング棒(ネットショップ)
- 金づち(ネットショップ)
- ガスバーナー&トーチ(ホームセンター)
- ハニカム耐火ブロック(ネットショップ)
- 第3の手(ネットショップ)
- 耐水やすりペーパー(100均ダイソー)
- 精密やすり(ネットショップ)
- ピンセット(100均)
- クエン酸(100均)
- 水&厚めの瓶
- 布巾(水をふき取る用)
必要な道具の購入先(ネットショップ)は、すべてこちらに分かりやすくまとめています。
もし、お尋ねや疑問点があれば、コメント下さい。毎日チェックしていますので。
彫金リング半月形ストーンの石座・爪留め指輪の作り方
まずは、石を乗せる石座という部分を作っていきます。
石座を作る:彫金リング半月形ストーンの石座・爪留め指輪の作り方
半月形の石に合わせた石座用の小さな輪を、2mm線で作ります。
石の形を紙に写し、真鍮線を曲げます。
この方法で石座を形づくれば、どんな形のストーンでも作れそうだね!
2本の線をロウ付けして、石の形(半月形)にします。
ロウ付けには、最も融点(溶け出す温度)が高い№2の銀ロウを使用。
ロウ付け後は酸化して黒くなるので、全体的にリューターで磨きます。
石が斜めにカットされているので、その角度に沿って石座を削り込みます。
カーブは、精密ヤスリのカーブを使って削ります。
ちょうど赤色で示した部分あたりを削り込む感じです。
石留めする時の1㎜線との接点をやすりで削ってくぼませておく。
こんな風になります。
後から石留めの爪とロウ付けする部分を、精密やすりで少し削ってくぼませておきます。
次に、石を留める爪の部分を作ります。石の角度と合わせて、1㎜線を折ります。
仕上がり時に石の面が高くなりすぎないよう、これぐらい角度を浅く折り直しました。
先ほどのD型の石座に、2分ロウで付けていきます。まずは1本。
横から見たところ。
第3の手で支えながらロウ付けするとうまくいきます。
ロウ付けするときなど、もう1本、手があればいいのに…というときに便利です。
スズホツールさんにもあります↓
Amazon等で買うなら↓
上から見て、折山が2本目付ける1㎜線の交点上にくるよう、ロウ付けします。
もし、大幅にズレたらやり直します。
2本目が難しいのですが、1本目にロウ付けした付近を熱しすぎないように注意して付けていきます。
1本目の折り山を1㎜カットし、2本目の1mm線をはめ込んでロウ付けします。第3の手でリングを支え、1番融点の高い2分ロウでロウ付けします。
クロスしている部分を先にロウ付けしておき、そのあと、左右のD型との接点部分を付けます。
ロウ付けが上手くいけば、真鍮を冷ましてから石を乗せてみると良いでしょう。石座の真鍮線は見えないようにすると美しいです。
耐水ペーパーでやすっておきましょう。番手数の小~大きい順に紙を取り換え、磨いていきます。私は、400番→5000番ぐらいまで磨くと、つるつる光ってきます。
細かいところのスキマは下のように、細く切った紙やすりを往復させて磨きます。
磨いたら、後ほど指輪本体とロウ付けする部分も少し削っておきます。
本体を作る:彫金リング半月形ストーンの石座・爪留め指輪の作り方
次は、3mm真鍮線で本体となるリングを作ります。
3mm線をなまして曲げようと思ったのですが、意外に硬くて曲がりませんでした。
そこで、なます時の水冷却をせず、バーナーで熱した直後、ペンチを2つ使ってゆっくり曲げました。
急に曲げると、ポキッと折れてしまうので注意。
ちなみに折れた部分を、石座を支える台パーツに使用したので結果オーライでした
曲げた際、針金全体が少しねじれてしまったので、金床に乗せハンマーで叩いて、水平にします。
金工用の糸鋸で、リングサイズのちょうどよいところで切ります。
このようにすり板をクランプで机に固定し、V字の隙間のところで糸鋸で金属を切ります。
糸鋸は種類が多く、選ぶのが大変でした。こちらが最もリーズナブルで使いやすいです。
私はAmazonで下の商品を購入しました。
ちなみに、石が乗るところをシミュレーションして、カットする部分を決めるといいです。
指の太さを計るには、リングゲージが必須。
リングを作るとき、サイズ調整をするために使います。
このような形になればOK。
両端が石座に向けて細くなっていくデザインにするため、途中から先薄くなるよう、リューターで削ります。
指を握ったときに握り込む部分も厚みを薄く削りました。かなりピカピカに光ります。
費用を抑えたい方は、とりあえずAmazon等で低価格のリューターセットを購入するのも手です。その際、ドリル・研磨用のビットが付いているものを選びましょう。例↓
私はAmazonで購入しましたが、これが思いのほかお役立ち!先端工具の種類が多い。軸径は、約3mmです。
ジェルネイルのリムーブにも使っているほど、使い勝手バツグン。
石座と本体を合体する:彫金リング半月形ストーンの石座・爪留め指輪の作り方
石座を本体の溝にセットし、融点の1番低い(溶けだすのが早い)早ロウでロウ付けします。
先ほど融点の高い2分ロウで付けたところが溶け出すのを防ぐためだよ
横から見たところ
台パーツを付ける:彫金リング半月形ストーンの石座・爪留め指輪の作り方
忘れずに、石座を支える小さな台パーツも作っておきましょう。このような、爪を切った時の形のようなパーツを作ります。
ヤットコで支え、端からハンマーで打ち付けると曲がります。これを、リングの内側に沿うよう形を削って整えます。
リングの内側にセットし、フラックスの粒を乗せているところ。
すでに溶接済みのところを熱しないよう、バーナーで煽ってフラックスを溶かします。
1、2㎜各の早ロウを乗せ、同様に溶かします。
ロウ付けのコツ:彫金リング半月形ストーンの石座・爪留め指輪の作り方
ここで、初心者ならではの疑問「ロウが溶けた状態って?」にお答えするよ
ロウが溶けた状態の見極め方をご紹介します。このように、銀ロウが玉状になって…
もう少し熱すると、ピカッと光って溶ける瞬間を見逃さないよう。
必ずしも、玉状になるわけではないので注意してね
クエン酸の粉をティースプーン1杯分、水に溶かした酸洗い液に浸け、流水でリングをサッと洗います。
ロウ付けの時にできた酸化膜を洗う役目があるよ
一般的なクエン酸液だから、使った後も台所に気兼ねなく流せるしね
指輪の穴に沿うよう、台の形をシャープに削ります。
ビフォー | アフター |
通常通り、紙やすりで番手を上げて5000番ぐらいまで磨きます。内側は、ここまでピカピカに磨きます。
磨く:彫金リング半月形ストーンの石座・爪留め指輪の作り方
もうロウ付け作業はありませんから、あとはしっかり磨くだけです。
細かいところも隅々まで磨きます。
かなり時間のかかる作業ですので、余裕をもってじっくり取り組みましょう
石留めする:彫金リング半月形ストーンの石座・爪留め指輪の作り方
いよいよ石をセットしていきましょう。
石が水平になるようセットしたら、石のフチと接していた部分に印を付けます。
石を取り出し、印を付けた部分の内側のみ、精密ヤスリで少し削ります。
こうしておくことで、次の工程「爪を折る作業」がキレイにできます。
折り紙と同じです。折り目を付けておくことで、キレイ折れる場合がありますよね。また、爪を倒す時、石にかかる圧力を下げる効果も。
石が割れないようにするためだね
石が水平か確認しつつ、爪を少しずつ倒していきます。
ニッパーでカットします。慣れないうちは、どこでカットすればいいか迷うかもしれませんが、仕上がり時をイメージし、次の点を考慮して、カット位置を決めます。
- どこまで爪の先端が来ても、デザインを損ねないか?
- 石がしっかり留まる爪のギリギリの長さは?
爪は、短すぎないようカットするのがポイント。
長すぎる分にはセーフです。というのも、長すぎても、次にやすっていくから大丈夫。下の画像でも、少し長めに残しています。
爪を精密ヤスリで削っていきます。
次に紙やすりでいつものように番手を上げつつ磨き、最後はリューターで、中目→仕上げ→ピカールの順に磨きます。
磨く時は、こちらのフェルトバフが必須。私のようにリングなどの小さな物を作ることが多い方は、この細めの砲弾型が使いやすくて重宝するはず。
中目・仕上げ目・液状の研磨剤の3種類を、中目から順番に使っています。研磨剤の粗さによって先端工具も付け替えています。
私が紙やすりで研いだあと、1番目に使用している、中目はこちら。
真鍮なら、こちらでもOKかと思います。
2番目に使用している、仕上げ目はこちら。
こちらでもOKかと思います。
本体も磨いたら、完成です!
ね?かんたんでしょ。
まとめ:彫金リング・Vカットストーンの石座・爪留め指輪の作り方
初心者でも、これぐらいシンプルなリングなら、たった1日ほどで作れてしまいます。
はめてみると結構ゴージャス!やはり、本物の天然石ルースですから、存在感が違います。
1㎜の爪の線をロウ付けする部分が1番難しいかもしれません。ですが、慣れればすぐコツがつかめるので、ぜひ挑戦してみて下さい。
こちらのリングは、ショップからご購入頂けます。1点ものにつきお早めにどうぞ。
具体的な動作が見られる動画はこちらをご覧下さい。
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また、彫金は初めの道具や材料をそろえるところが大変です。ソーイングなどとは違い、そろえる物になじみがないし、種類が多すぎるので困っちゃうんですね。
私の場合、道具・材料の買うものリストを作るだけで、なんと1週間もかかってしまったんです。
とういうわけで、彫金を始めたいけど、何から揃えればいいかな?という方は、こちらの記事がおすすめです。
この記事を読むだけで、どこで何を揃えればいいかが分かります。しかも、なるべく手頃な予算で手に入るようにリスト化しました。お役に立ちましたら幸いです。
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