コートの肩パッドを取って、肩のラインを削る方法を紹介します。
1.裏地を開いて肩パッドを取る
2.削るラインを引く
3.ミシンで縫って、元々の縫い目をほどく
4.試着をして修正する
5.裏地の処理をする
こちらのウールのコートですが、肩が少しぽっこりしていて、ミセス風なデザインなんです。
今風にするために、肩パッドを抜いて、肩のラインを少し削るというリメイクをしていきます。
裏地を開いて肩パッドを取る
裏地側で開いていきますが、まず、肩の縫い目を確認します。
肩の縫い目の裏側の裏地をほどいていきます。
用意するものは、握りバサミと目打ちです。
肩パットの真ん中ぐらいの糸を1ヶ所カットします。
ハサミの先を入れて、糸だけカットします。
裏地を切らないように注意しましょう。
カットしましたら、目打ちで糸をほぐしていきます。
あとから結んでまた閉じるので、ほどいた糸は切らずに残しておきます。
裏地が開きましたら、肩パッドを取り出します。
パッドを留めているしつけ糸はカットしても大丈夫です。
肩パッドが取れました。
しつけ糸は丁寧に取り除きましょう。
一旦、ここで試着をして、肩のポッコリ具合を確認します。
やはり、この肩のポコってした部分がちょっと大きく見えてしまうので、
ここを2cmほどつまんで、カーブの丸みをそぎ落としていきます。
削るラインを引く
カーブ削る位置の決め方ですが、これだけカーブがついてるので、
どこから落としたらいいかという判断がつきにくいと思います。
ミシンの構造上、切り替え部分の2cmほどは、ゆとりが必要なんですね。
裏地の開いた部分から手を入れて、切り替え部分から2cmのところを内側からつまみます。
つまんだところを起点にして、どんな緩やかなカーブで削っていこうかな、
というイメージを膨らませます。
できるだけ直線に近いような緩やかなカーブで、
袖の切り替え部分につなげていけばいいのかなと思います。
スタートの位置からカーブの終点までの長さを定規で測って、
反対側も同じ位置に終点を決めれば、同じカーブで切り取れますよね。
裏地の開いた所から表地を引き出します。
削り取る線をチャコで引いてみました。
縫い合わさってる部分から2cm空けてます。
削り落とすカーブは30cmになりました。
直線だと肩の丸みに合わないので、必ず緩やかなカーブにして下さい。
見てもらったら分かるように、これだけカーブがきついので、
そりゃ、着たときに肩がボコってしますよね。
ミシンで抑え金の下に入れたときに、縫い合わせの部分って、金具の下に入らないんですよ。
針も通らないですしね。
それが2cm空ける理由になります。
チャコで引いたところは、ずれないように待ち針を刺しておきましょう。
もう片側のカーブの線の引き方を紹介します。
まず、端から2cm空けたところにメジャーをおきます。
次に、30cmになるところにチャコで印を入れます。
この30cmのところの点と、端から2cm空けたところの点を、
緩やかなカーブで結んでいけばいいんですね。
とは言っても、左右のカーブを同じにするのはなかなか難しいので、手掛かりをさがしていきます。
先ほど引いた反対側のカーブの線を見てみると、ノッチという切り込みが入っていました。
このノッチのところですが、元の縫い目からチャコの線までを測ると2cmでした。
ですので、反対側のノッチのところも、元の縫い目から2cmのところに印をつけます。
これで、印をつけた3点を通過するようにカーブを引いていけばいいことになりました。
かなり引きやすくなりますよね。
さらにコツがありまして、直線をうっすら引いて、それからカーブさせるという方法もありますよ。
反対側もカーブが引けましたので、縫っていきます。
ミシンで縫って、元々の縫い目をほどく
縫い始めは、元の縫い目に重なるように、返し縫いを2回します。
行って ↓ 帰って ↑ 行って ↓ 帰って ↑ っと縫います。
先ほど引いたチャコの上を縫うように進めていきましょう。
待ち針は、乗り越える前に抜きます。
ミシン針が傷まないようにするためです。
裏側の生地をしっかり平らに伸ばして縫います。
最後も元の縫い目に重ねて2回ほど返し縫いをします。
補強のためにもう一度同じところを2度縫いします。
新しい線で縫えましたら、元々のカーブの縫い目をほどいていきます。
リッパーの歯を入れて、3cm間隔ぐらいで糸を切っていきます。
もちろん糸を切るのは、新しく作ったカーブの線と交わっている手前までです。
3cm間隔ぐらいで何ヶ所か糸が切れたら、裏を向けます。
元々の縫い目の下糸を引っ張ると糸がスルスルっとほどけます。
糸がほどけますと、このように開きます。
新しく作ったカーブとの交点ギリギリまで、ちゃんとほどいておきましょう。
もう片側の縫い目も同じようにやります。
両側できましたら、元々の折れ目をアイロンでとっていきます。
中に袖万を入れてます。
袖万がない場合は、バスタオルとかをぐるぐるに巻いて筒状にして入れてください。
袖万は数百円で買えます。
1本あったらすごい便利なんで、持っておくことをオススメします。
あて布をして、毛皮とかに直接アイロンがあたらないようにしましょう。
スチームの蒸気でシワを取る感じが一番理想的ですね。
このように、だいぶ伸びました。
試着をして修正する
試着をして、肩の様子を見てみます。
肩のポッコリ感はスッと無くなったんですけど、今度はの二の腕のあたりの膨らみが気になりますね。
ここをもうちょっとまっすぐに直します。
もう一度裏返してみました。
さっきの二の腕の膨らみの原因は、この辺りのカーブですね。
ここを直線にしたら、プクッとした二の腕の余分な膨らみがなくなりますね。
直線に修正していきます。
ここにもノッチがあるので、これを目安にして線を引きます。
1cmぐらい、ボコっとした膨らみを削ることになります。
新しく作った線の上を縫いましたら、古い線の縫い目を解きます。
試着して、二の腕の膨らみがないか確認します。
いい感じですね。
肩の丸みもないし、二の腕もスッと通ってラインがキレイになりました。
同じように、もう片方も仕上げていきます。
両方とも仕上がりましたら、新しいカーブの縫い代を、1.5cmずつに整えていきます。
ここで本体側を切ってしまうと、今までの苦労が水の泡になって、
コートに穴が開いてしまいますので気をつけましょうね。
次は、カーブのところに切り込みを入れます。
キレイにカーブが出ますし、フィット感も違います。
ギリギリまで切らなくていいので、5mmほど残してカットします。
袖万を通してアイロンをあてていきます。
あて布を忘れずに。
カーブ部分に切り込みを入れてアイロンをすることで、
カーブに縫い目が馴染んで、縫い代がフィットしてくれます。
変な凹みもなくなりますので、カーブ部分は、切り込みを入れて落ち着かせることが多いです。
裏地の処理をする
次は裏地の処理に入っていきます。
はじめに開いた裏地なんですが、糸を長めに残してあるので結びます。
結んだら、結び目から1cmほどのところで切ります。
裏地は詰めなくてもいいのかなんですが、裏地って詰め過ぎると突っ張るし、
キュプラの生地なので、いがみやすいんですよね。
今回は、2cmほどつまんで詰めただけなんで、これぐらいの直しだったら、
裏地はあえていじらずに、手縫いなどで閉じていきます。
手縫いを短縮したいときは、縫い代を中に折り込んで、
ミシンで縫ってしまうという方法も簡単でおすすめです。
ピンっと張って待ち針でとめます。
中に1cmぐらい折り込んでるので、少し詰めたのと似たような状況にもなっています。
端から2mmぐらいのところをミシンで縫えば、返し口を閉じたことになりますね。
では裏地を縫っていきます。
なるべく端を縫いましょう。
変な段差とか縫い重なりができないように注意しながら、慎重に縫い進めます。
特に、縫い始めや終わりは段差ができやすいです。
キュプラは縫いにくいので、ちゃんと縫えているか、時々確認して下さい。
先程1cm残して切った糸を、中に隠すように折り込んで、上から縫うといいですね。
最後は忘れず返し縫いをしましょう。
縫い終わったら、アイロンでキレイに整えます。
アイロンをあてるときですが、スイッチ切って余熱であてるといいですね。
直にあててしまうと、キュプラが傷んでしまいますので、あて布もします。
反対側の裏地も、同様の処理をすれば完成です。
昔の服、特に冬物は良い素材をつかっているものが多いので、
お母さんやおばあちゃんから譲り受けた時は、今風にリメイクして着てみてはいかがでしょうか。
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